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書く事で自分と見つめあって、少しだけ癒される

「宝石商リチャード氏の謎鑑定」読み始めた 2020/07/10

やっと、読み始めた。正確には昨日の夜からになるが。

辻村七子の「宝石商リチャード氏の謎鑑定」。 

どこの本屋でも、今年に入ってアニメ化されたらしいこのシリーズを全面的に売り出していた。

目を奪われる美しい白人青年と、対照的で明るくて健康的な日本人男性の描かれた表紙。そんな派手な表紙の本が何種類も置いてあって、初めはその冊数にちょっと気が引けた。

シリーズで沢山読みたいわけではない。今は、少しずついろんなジャンルに手を出して、自分の好き嫌いを確かめたいんだ。

でも、最初の1冊だけなら。

 

そう思って遂に1冊目を手に取った。

 

(ちなみに同じ理由で遠慮していた本があるがそれも多分近いうちに買う)

 

すでに立ち読みで最初の見開きくらいは読んでいたが、読み進めるとそのテンポの良さに驚いた。

まるでツイッターみたいだ、と思った。

始めたばかりの冬休みはともかく、週四で昼は大学、夜はそのままバイト、仮眠室で朝眠ってまた大学というライフスタイルは、俺の体内時計を直撃した。いつも頭がぼーっとする。貯金は増えるが使い道が浮かばない。俺も友だちも一律『守衛さん』で、一度も名前を呼ばれない。最近ご飯がおいしくない。このままいくと多分ヤバい。(略)

一つの段落でこの情報量だ。一つ一つの描写に文字数制限があるかのように畳みかけてくる。

表現をいちいち着飾らない辻村七子の言葉は、飽きっぽい私にもすっとなじんだ。

 

書いていて気付いたが、1文がすごく短い。とてもリズミカルで、歌のような、早口言葉のような、生活に追われている誰かがスキマ時間に手短に垂れ流したツイートのような、とにかく小説ではない何かを読んでいる感覚になる。

 

スキマ時間や移動時間に読んでいただけだが、昨日まで読んでいた北欧神話は2週間近くかかっていたのに、たった1日で半分近く読み終わっていた。

 

これはまた読みたくなる可能性が高い。

どうやら、1章ごとに話が完結しているらしから、私が心配していた他ジャンルの本との両立もどうにかなりそうだ。

 

他の本を読んでから、またこのシリーズに戻ってこれそうだと分かって安心した。

 

次の本を買いに本屋に行くのが楽しみだ。