「北欧神話」読了 2020/07/09
これは随分と読み終わるのに時間がかかった。
子供に向けて書かれた岩波少年文庫の1冊だから、終始難しい漢字が使われていないから読みやすい。
ゆっくりと子供に読み聞かせるようなリズムで、多めに句読点が打たれているから思わず音読したくなる。
それぞれの登場人物の名前には「良いことも悪いこともするローキ」「神々の父オーディン」など、必ずどんな人物なのかがわかるような形容詞がついているからどこから読んでも楽しめる。
しかしだ。
ぶっ通しで読むには少し辛い1冊だった。
神話なので起承転結、話の山がないから途中で飽きが来る。
漢字を使わないと読みにくい場所でなぜかひらがなが使われている。
神話ならではだが、「なんでそんな想像ができたんだろう?」という描写も多い。(馬が家のレンガを積み上げたような話とか)
途中で漫画に手を出してしまいつつも、何とか読み終わった。
でも何となく、そのうちまた読み返してもいいかなと思うところがあった。
なんでなのかはわからない。
でも最初の1ページ目をもう一度開くと、なんだか優しい気持ちになった。
巻末についていた解説でも書かれていたが、北欧神話はなんとも神話っぽくない。
夢がないのだ。
巨人を全能の神オーディンが殺した血肉で世界が出来上がる。
最後も神&人間VS巨人で戦って、なんと相討ちになって世界が滅びる。
なんという勝手な世界だろう。
しかも神々は小人や巨人を明らかにさげすんでいて、日本人の感覚からするととても道徳的ではないし、その神々でさえ「こいつアホかな…」と思う行動ばかりしている。
神話のジャンルできちんと読んだのはこれが初めてだったから、もしかしたらどこの国の神話もこんなものなのかもしれない。
文字や紙が普及しない世界で、親から子へ語られる言葉を頼りにここまで作り上げられたんだろうか。だとしたら、確かにすごいんだろう。
とにかく、マーベル映画やヴィンランドサガで何度も登場する北欧神話の世界を知れたのはよかった。
随分と長い間図書館から借りたままだったが、明日には返しに行こうか。