thalaj

書く事で自分と見つめあって、少しだけ癒される

家族を大切にすること 2020/03/15

「あら~~、久しぶりじゃないの!元気にしてた~~?」

 

おばあちゃんは満面の笑みでお茶を出してきた。

 

部屋を見渡すと、壁が色あせた気がするのと、メモの張り紙が増えた以外は、だいたい10年前から変わっていない。

中学生の頃、美術で作って上手にできたからおばあちゃんにあげたお皿が食器棚の上にまだ飾ってある。

福島に行ったときにあかべこ体験でペイントした赤べこも、いとこの書初めも、弟が旅行土産でプレゼントしたおしゃれライトも、すべてがその時のまんまだ。

 

こんなのあったっけな、と思ったのは、テレビの横には、鉄でできた一輪挿しにカスミソウが飾ってあったことだった。

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誰に言うわけでもなく、黙って一枚、写真に残しておいた。

 

おしゃれな家だな。


私は初めてそんな風に思った。

 

今までは、おじいちゃんが死んだときの遺品整理にストレスが溜まる母の、「なんでも捨てずに物を取ってある」なんて話に気を取られて、そんな風には見えていなかったのかもしれない。

 

それとも、独り身になってから、おばあちゃんが自分の好きなように身の回りを飾るようになったのかもしれない。

 

いずれにしても、なんだかきゅんとした。

 

今、89歳だというおばあちゃん。

伝えられるうちに、「おばあちゃんの家は、小物がたくさん、おしゃれに飾ってあって、とってもきれいだね!」って伝えたい。

 

それまで、元気でいてくれますように。