thalaj

書く事で自分と見つめあって、少しだけ癒される

出てきまくるミスと終わらない仕事 2021/03/19

「なんか手伝うことある?」

やつれた顔をしてパソコンにかじりつく私に上司が声をかけてきたのは20時すぎだった。

「いや」

否定しつつ、在宅勤務をしている隣の人のデスクを占拠している封筒に目をやる。上司の視線も自然とそちらに向かった。どちらともなく苦笑いする。

「ないです。大丈夫です」

自分に言い聞かせるようにつぶやいた。実際、猫の手も借りたい状態だが、部長と本部長を兼任する上司に頼めるようなものではない。瑣末なものばかりだ。上司もそれを読み取ったようで、

「まあ、うん。持ち越せるタスクとかないの?今日じゃなくてもさ」

と質問を変えてきた。どうせ毎日遅くまで残っているのに翌日に持ち越したところでどうしようもない。

でも確かに、火曜までにすませればいいものもある。それにー、

「月曜日の上司とのミーティング、火曜日にリスケにします」

してもいいですかと疑問系にしないのは、そのスケジュールが遅れたところで誰にも迷惑がかからないことを意味する。今月で3年目になるライティング業務だ。

しかし誰にも迷惑がかからないからといっていつまでも先延ばしにはしておけない。そうして甘えていた1年目は本来作れたはずの本数を書き上げることができなかった。3月のカレンダーを眺めながら、あと1日くらいだったら遅れても大丈夫だろうか、と眉間に皺を寄せる。

気にかけてくれた上司が帰り、「上司心配してたよ」と心配してくれる先輩が帰り、本部で一人残された私は匂いのきついガムを思い切り貪りながら最後の仕事をやっつけた。